コクーン歌舞伎

行ってきました、今年もコクーン歌舞伎
演目は『三人吉三
河竹黙阿弥の世話物の代表作。
座席はなんと、一番右端ではあったが最前列。
コクーンでは芝居小屋のように前方は椅子を取っ払って平場席。
(板の上に座布団が並べてある)
舞台も低めなので、役者の目線とほぼ同じ、大迫力。
何と言っても真横であの歌舞伎の演出に付き物の『ツケ』の音が響く。
(見栄や立ち回りで役者の動きに合わせて、「バタ、バタ、バタバタバタ、バッタリ」と板に2本の柝を打ちつけて鳴らす効果音)


題目通りの三人の吉三を名乗る盗人が主人公。
和尚吉三・・・中村勘三郎
お坊吉三・・・中村橋之助
お嬢吉三・・・中村福助
さらに、和尚の妹、中村七之助、出生時に捨てられ兄妹と知らずに恋に落ちる兄に中村勘太郎
和尚と兄妹の父で、すべての因果のもとを作り出した男が笹野高史
何と言っても、流れるような七五調の台詞がたまらない。
ピタッと決まった時の快感は、喋る方も聞く方も格別のもの。
斬新な演出が話題になるコクーン歌舞伎であるが、
今回は一幕では舞台中央の水をはった(川に見立てた)池の上の回り舞台。
カメラがアングルを変えたり、パンするように舞台が回転し、周囲の木などのセットが動く。
(セットはもちろん黒子さんたちが動かす)
役者の見栄は映画で言えばクローズアップの効果を狙ったもの、と言うが、
その役者の計算された動き、表情、照明の効果ともあいまって、舞台全体がつねに客席からの見え方を変え、どんどん引き込まれる。
今回も花道のないコクーンならでは、客席通路を役者が登場、退場では頻繁に行き交う。
実際に平場席の客の間を縫うように歩いてみたり、もちろん歩きながら芝居はつづく。
最前列といったって舞台の方ばかりは見ていられない。
三幕八場の3時間半超もあっという間。大詰まで一気に進行する感じ。
そして大詰「本郷火の見櫓の場」

(写真は会場外にあった紹介写真)
舞台一面の雪、雪、雪。
親の因果が子に報い、濃い血の絡んだ物語の終焉は、
圧倒的な迫力の中で、刺し違えながら息果てる三人の吉三。
いきなり流れる椎名林檎の歌声だけはどうしても違和感があったが、
途中に使われていたエレキギターの音なども通常の歌舞伎ではあり得ない演出ということか。
スタンディングオベーションの幕引きとなった。
(客席で存在が目立っていた和田アキ子も)


28日にはwowowのカメラが入るということなので、放送が楽しみ。
7月には平成中村座ニューヨーク公演も。昨年のように衛星生中継してくれないかな〜。