mother’s day

毛皮のマリー』@ルテアトル銀座

東京公演の千秋楽のチケットが運良くとれた。
毎回「友の会」の会員の先行抽選でなければ容易にはチケットは手に入らない。
美輪さんのために寺山修司が1967年に書いた戯曲。
エロもグロもナンセンスも混沌の中に混在し、その中に人間の生がありありと存在する。
スペインの映画監督ペドロ・アルモドヴァルの描く世界にも似ている。
そして、美輪さん自身の解釈と思いが舞台いっぱいに広がる。
「魂が遠洋航海するためには、からだの方はいつも空騒ぎ」
人間が幾多の生を連ねて魂が成長していくには、毎回の生で様々な経験を積んでいかなければならない。


そして、最後には圧倒的な母性が溢れ出す。
この表現力、包み込む力は一体何だろう。
1994年にPARCO劇場で一度観たことがあったのだが、
今回の方が圧倒された。
美輪さん本人が脚本を解釈し直し、すべて演出し、
この作品の「決定版」にすると言っているせいもあるだろう。


母の日にこれを観ることができたのも何かの巡り合わせかもしれない。
あらためて我が母の有難さを実感する。