夏休みの映画館

午前中3時間のあと、移動で夜3時間の講習というスケジュールのため、
午後の中途半端な空き時間に映画でも観るか、ということにした。
とはいえ、駅前のスクリーン3つの小さな映画館、観られる作品も限られている。
で、観たのは、

お盆休みで、子供連れ、じじばば連れの目立つ映画館、
足を踏み入れた瞬間に、後悔の念が押し寄せた。
肝心の映画は、まずまず楽しめた。
街が水の中に沈み、太古の海洋生物が悠々と泳いでいるシーンは印象的。
5才の少年が、自分の親のことを、「りさ」「こういち」と名前で呼ぶのには違和感があったが。
きっと、意味のある演出なのだろうが・・・
介護施設の老婆たち(なぜか爺はいない)も、みな名前(ファーストネーム)で呼ばれていたしな。
単純なハッピーエンド(不思議な力をもつ人面魚が我がままを押し通して人間になる)の物語に平行して、
あちこちに示唆に富む台詞や情景が織り込まれている。
声優にクレジットされていた矢野顕子が、無数に登場したポニョに妹たちの魚ってところが絶妙。


そして、選択肢がほとんどない中、翌日は『ハプニング』

M・ナイト・シャマラン監督作品(あの『シックス・センス』の、という形容は一生ついていくのだろうな)
何か見えない脅威によって、人間の内部の自己防衛本能が破壊され、
どんどんと人間が自己破壊行為(自殺)していく。
ショッキングな自殺シーンと死体の連続。
何から逃げているのかわからないまま、人々は逃げる。そして破滅。
どうやら、植物が放出する物質が風に運ばれて人間の神経系を攻撃しているのでは、
ということが感じられるが、結局はっきりしないまま、終結
なんと言っても、主要キャストの演技がお粗末で見るに耐えなかった。
ジョン・レグイザモだけがまともな演技(もっとも前半にあっさり死んでしまうのだが)


自分たちの利益優先で地球で好き放題やってきた人間への自然からの警鐘、
その点では扱っているテーマは前日に観た「ポニョ」と同じなのだ。
ただ、どちららも個性的な表現方法がストレートに現れる監督の作品だけに、まったく異質。
エンターテイメントとしては、はっきり好き嫌いが分かれるところ。
いずれにせよ、ほのぼのとしたテーマソングそのままの子供の世界や、
ドキドキのサスペンスとスリルだけを求めていると完全に裏切られる。
自分にとっては、どちらも中途半端な感じがしたが・・・


人間が海中で出す、軍事用のソナーの音や騒音のせいで、
クジラがイルカが音響に混乱して浜に打ち上げられたり、船舶と衝突して死ぬという事例が増えているという記事を読んだ。
まさしく、宮崎駿が描き出した海の世界で、シャマランが描いたショッキングな自滅的破壊が現実に起きているということだ。